猫も人間同様にお腹が痛くなり、下痢をしてしまうことがあります。
下痢については、お腹を壊した程度と侮りがちですが、子猫・老猫の場合急性の下痢や進行性の下痢の場合急激に悪化し1日から数日で死に至ることもあります。
ほっとけば治るなどと考えず、早めに獣医師相談しましょう。
このページでは猫の下痢の症状・原因・治療・予防についてお話しします。
下痢とは、便に含まれる水分量が増えた状態を指します。
種類としては軟らかい便・水様便などがあります。
まずは、こうした種類や別に発生している症状を観察し、獣医師に伝えられるようにしましょう。
また、獣医師に便のサンプルを渡す必要があるので、砂がついていても問題ないのでジップロックなど密閉できる袋・容器に採取しましょう。
猫の下痢の症状・観察のポイントは以下の4つです。
下痢の量は多いのか、頻度はその程度か、形は水っぽいのか、軟らかいだけかを確認しましょう。
引っ越しなどの住環境の変化・食事の変化・誤飲誤食はあるか確認しましょう。
誤飲誤食については、命にかかわることもあり、何を飲み込んでしまったのか、或いは食べてしまったのか具体的に可能性があるものを確認しましょう。
嘔吐や元気がなくなったなどの衰弱・痙攣(けいれん)・痩せてきているなどの症状はあるかなど下痢以外の体調異常を確認しましょう。
別の症状があった場合は、救急搬送が必要な場合もあります。
血便を伴っているか?回虫などの寄生虫は便の中にいるか?を確認しましょう。
血便の場合は、血がどの程度混じっているのか、寄生虫の場合は色や形状を確認しましょう。
以上の確認を事前に行っていて正確な情報を伝えられれば獣医師は緊急性があるかどうか判断ができ、早期回復の助けになります。必ず確認しましょう。
猫の下痢は、大きく分けて5つの原因が考えられます。必ずしも病気が原因とはかぎりません。
細菌感染・ウィルス感染・寄生虫感染などによる下痢症状です。
下痢以外の症状を起こすことが多く、嘔吐、食欲不振、元気の減退などの症状があります。
原因を取り除かないと慢性化していきます。
■考えられる主な病気
猫汎白血球減少症(猫パルボウィルス感染症)・猫回虫症(トキソカラ症)・ジアルジア症・猫ロタウィルス感染症・トキソプラズマ症(豚肉食による感染)など
多くは住環境の変化によるストレス性の下痢があるようです。
神経質な性格の猫に起こる症状です。新しい猫を迎え入れた場合に先住猫にもストレスがかかり、下痢を起こすケースがあります。一過性のケースがほとんどです。
食事を変えたことで、原材料も変わりますので、食物アレルギーを起こす猫もいます。
また、猫にとって毒になるネギ類、魚介類(イカ・タコ・貝)牛乳などを摂取した場合もおこり、特にネギ類・魚介類は激しい下痢をともなう重篤な症状を起こします。
さらに、猫がおもちゃなどを誤飲誤食してしまった場合も下痢を起こすことがあり、最悪腸閉塞となります。
胃腸・小腸・大腸や内臓に何らかの疾患がある場合に起こる下痢です。
とくに特発性炎症性腸疾患(IBD)は難治性の腸炎で慢性化します。
その他、血液が混ざる、便の色がおかしい(黒い・白い)などの症状があります。
■考えられる主な病気
特発性炎症性腸疾患(IBD)・膵炎・膵外分泌不全症・好酸球性胃腸炎
二指腸潰瘍・胃潰瘍・リンパ管拡張症など
胃腸に腫瘍ができることでも、下痢を起こすことがあります。
下痢だけでの判断は困難ですが、慢性的な下痢を起こす傾向があり。
■考えられる病気
良性腫瘍(腺腫瘍ポリープ・平滑筋種など)・悪性腫瘍(腺ガン・リンパ腫・肥満細胞腫など)
獣医師での診療をうけるのは当然ですが、食事内容の変更や環境の変化によるものと明らかな場合はその原因を取り除く或いは軽減させることで症状は緩和していきます。
引っ越しなどでの環境の変化は、時間が解決し、食事については、獣医師に相談をしたうえでアレルギー検査などを行いましょう。
動物病院では、念のため整腸剤(ビオフェルミンなど)が処方されるでしょう。
予防としては、環境の変化は防ぎようがありませんので、部屋のレイアウトを大幅に変更しない・猫のお気に入りのグッズを猫の周りに置くなどをして、猫を安心させるよう にしましょう。
食事の変更は徐々に行うことや、アレルギーの場合は、成分表を確認しアレルゲンが含まれるものを避けましょう。
下痢以外の症状が出ている場合はすぐに獣医師に連絡をとり、動物病院での診療をうけ原因を特定しましょう。
嘔吐・脱水などの症状を伴う場合は急激に衰弱することがあり、夜中に診療を受けるケースもあるので救急外来の動物病院を日ごろからチェックしておきましょう。
複数の症状が出る場合の下痢の予防は、誤飲誤食を原因とする場合以外、非常に困難です。
日々のトイレの掃除の際に便の状況のチェックや、ブラッシングなどのコミュニケーションを通した体調のチェックをし、早期発見と早期での動物病院の受診をおすすめします。
猫の下痢は、必ずしも病気というわけではありませんが、人間と違い体調不良を言葉にして訴えることができず、ギリギリまで我慢してしまうので、気が付いた時には重篤な状況になってしまうこともあります。
下痢の症状がでたら、猫にとっての心身の不調のシグナルと考え、今回ご紹介した観察のポイントを参考に猫に何が起きているのか正確に把握し獣医師に伝えましょう。
お腹を壊しただけと、安易に判断せず、早期相談・早期治療をし、愛猫に健やかな日々を過ごさせてあげましょう。
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