猫にも、飼いやすい猫種と飼いにくい猫種がいます。今回は、純血種の猫で飼いにくい猫種をご紹介します。
ここでお話する飼いにくい猫とは、性格・健康・環境に特別な配慮が必要な猫種で、猫の飼育初心者には向かない猫種のことです。
スフィンクスはアメリカおよびヨーロッパのスフィンクスは、自然発生個体を起源としています。
名前から連想されるエジプトとは無関係です。その後デボンレックスと交配され、現在の姿になったといわれています。
性格は陽気で活発であり、人なつっこく社交的であるため性格的には飼いやすい部類の猫種といえます。
平均体重は 3.5-7 kg。被毛が産毛以外なく、体温が他の猫より4℃高いのが特徴です。
かかりやすい病気は、歯の障害・神経系の障害・皮膚疾患です。
ペットショップでの購入機会は多くなく、ブリーダーからの直接迎い入れるケースが多いようです。購入金額は、生後2~3カ月の子猫で20万円~30万円程度です。
性格的には飼いやすい猫である一方、無毛ではありませんが、あるべき被毛に覆われていないため、暑さにも寒さにも弱く、室内で飼う必要があります。
また皮脂を吸い取る被毛がないので皮膚が脂っぽくなりやすく、飼い主は毎日皮脂をふき取ってやる必要があり、飼育にあたっての重要事項が多く猫飼育の初心者には飼いにくい、飼育難易度の高い猫種といえます。
ベンガルは、1970年代、カリフォルニア大学でネコ白血病の研究のために、短毛種のイエネコと野生のベンガルヤマネコやアジアンレパードの交配が実験的に行われ、この時に生まれたネコが、後のベンガルの基礎になったといわれています。
ベンガルの体はシャープで筋肉質、被毛の柄はブラウンスポットタビーが一般的です。体重は成猫で4~8kg程度です。
ベンガルの性格は好奇心旺盛で、遊び好きです。家族に対しては、愛情をもって接することができます。
かかりやすい病気は、心臓疾患・眼系疾患です。
ペットショップで迎い入れる場合、購入金額は生後2~3カ月の子猫で30万円~40万円程度と高価な猫種です。特に特徴のヒョウ柄がきれいに出ている被毛の個体は高額となります。
ベンガルは販売価格的にも高額で飼いにくいと言えますが、問題になるのは運動量です。非常に活発な猫種のため、激しく上り下りができるスペースと猫を遊んであげる時間の確保が必要になり、一人暮らしや、小さな子供や老人のいる家庭にはむかず、他の動物や猫の多頭飼いにも向きません。
あまり運動できずにいるとストレスをためて非常に攻撃的になりますので注意が必要です。
野性味あふれるベンガルはいわゆる愛玩動物とは一味違い、アクティブにベンガルと向き合える飼い主でないと飼育はできません。
シャム猫は、シャム王朝(現タイ王国)が原産と言われています。タイ王国には3種の猫、シ・サワット(コラットの原型)、スパラック(バーミーズの原型)、シャム猫が存在していたとされており、その中でもシャム猫は王室や貴族、寺院など、タイ王国の中でも位の高い血筋の家系でのみ飼うことが許される猫として敬われてきました。
サファイヤブルーの目が最大の特徴で、毛色がシャムと類似していても、目がサファイヤブルーでない場合はシャムとして扱われません。
体格は2kg~4kgと小柄で非常にスリムな体系です。
かかりやすい病気は、眼系疾患(水晶体脱臼・角膜黒色壊死)や皮膚疾患です。
ペットショップで迎い入れる場合、購入金額は、生後2~3カ月の子猫で20万円~30万円程度です。
シャム猫は、活発的な性格でイタズラをすることも多く、自己顕示欲も強いタイプの猫種です。シャムは自分が主人と認めた人間にしか心を許しません。性格的には、猫の飼育初心者には手に負えない飼いにくい猫といえるでしょう。
また、繁殖力が強く、早熟の為、他の猫よりも早期に去勢・避妊が必要です。
ノルウェイジャンフォレストキャットは、その名前の通り北欧のノルウェー産の猫種です。ノルウェーでは「森の妖精」「ノルスク・スカウカット」とも呼ばれ、北欧神話に登場する猫のモチーフとも考えられています。
もこもことした長毛の被毛が特徴で猫種のなかでも大型で、成猫で5kg~8k大きな個体だと、雪国の寒冷な気候にも適応できる長毛種です。
日本のような湿度の高い地域での飼育にはむかず、常に室内温度を低めに設定する必要があります。
また、健康管理として被毛を清潔に保つためにも、朝晩のていねいなブラッシングとコーミングは欠かせませんので一人暮らしや忙しい方には向きません。
さらに成猫として育ちきるまでに3~4年はかかるといわれているため、食事は高カロリー高タンパクが基本で飼育費用も他の猫種と比べ高めです。。
性格的にはフレンドリーでほかの猫とも共存でき、活発な個体が多く、推奨はできませんが、野外での活動を好む側面があり、それを補うため、運動もたくさんさせてあげましょう。
美しい被毛と子猫時の愛らしさで人気ですが、飼育環境・健康管理に手がかかり、飼育費用もかさみますので安易な飼育はすすめられない猫種です。
かかりやすい病気は、毛球症や皮膚疾患・熱中症です。
ペットショップで迎い入れる場合、購入金額は、生後2~3カ月の子猫で25万円~35万円程度と高価な部類ですが、人気猫種の為、多く繁殖されており、出会える機会は多いでしょう。
アビシニアンは、アビシニア(現エチオピア)からイギリス兵が持ち帰った猫が品種改良されたものが起源とされております。
また、アビシニアンの祖先は、古代エジプトで聖なる猫としてクレオパトラにも愛された猫といわれ、現存の家猫の中で最も古い猫といわれています。
他の猫種と一線を画す毛の模様(体毛が濃淡の縞模様になっている)はティックドタビーと呼ばれ、アビシニアンの大きな特徴となっています。
アビシニアンの平均体重は3kg~4.5kgで一般的な猫の平均体重と比較しても少し小さめの体重となっています。
性格は、非常に甘えん防な性格の子が多く、特に雄(オス)は全身を使い愛情表現をする個体が多いと言われています。
アビシニアンは賢い猫種として知られ、人の言うこともよく理解し名前を呼べばすぐに飛んでくるほど賢く、友好的な猫種です。
ペットショップでも頻繁に見かけられる人気猫種で、飼いやすいと思われがちですが、賢く好奇心が旺盛で、イタズラ好きな性格の子が多く見られるため、しつけが難しい猫種です。また、甘えん坊の裏返しで嫉妬心が強く、多頭飼いや他の動物との折り合いはよくありません。
運動量も多い猫種で高所好きのため、壁を駆け上がり壁紙がダメになる、ものを落下させるなど、問題行動ではなく、通常の行動としてやってしまい、頭を悩ませることもあります。
かかりやすい病気は、先天性甲状腺機能低下症や拡張型心筋症、腎アミロイドーシスです。
ペットショップで迎い入れる場合、購入金額は、生後2~3カ月の子猫で22万円~30万円程度です。現在ではポピュラーな猫種なため、出会える機会は多いでしょう。
ソマリは、アビシニアンから稀に産まれる毛の長い種類を交配させて産まれたイギリス原産の猫種です。
別名ロングヘアード・アビシニアンとも呼ばれています。ソマリという猫種名は、アビシニアンの名前の由来である「エチオピア(旧アビシニア)」の隣にある国「ソマリア」から名付けられ、アビシニアンに近いという意味を込めてつけられています。
3.0kg~5.0kg一般的な猫の平均体重と比較したとき、小さめの体格ですが、アビシニアンから派生したため、特徴を受け継ぎ筋肉質です。
ソマリの最大の特徴はアビシニアンと同じく体毛が濃淡の縞模様になっているティッキングで、光の加減で色味が変わって見える美しい被毛です。
また、長毛で、ダブルコートのため、寒さに強そうに見えますが、アビシニアンの原産がアフリカの為か、寒さには弱い猫種で体調管理の為、室内温度には配慮が必要です。
性格的にもアビシニアンに近く、甘えん坊で賢い猫ですが多少神経質な部分があります。飼いにくい部分も同じで、いたずら好きで嫉妬深く、多頭飼いにはあまり適していません。
かかりやすい病気は、免疫介在性溶血性貧血・悪性リンパ腫や特有の遺伝性疾患(てんかん・底流睾丸・膝蓋骨脱臼)です。
ペットショップで迎い入れる場合、生後2~3カ月の子猫で20万円~30万円程度です。アビシニアンと同じく人気猫種なので、出会える機会は多いでしょう。
ラガマフィンは、1994年に純血種となった新しい猫種です。ラグドールをもとに繁殖されて猫種で、大きな頭にややつり上がった青い目、丸い頬をしており、特徴は、顔や手足などに斑が入っていることです。
ラグドールの特徴でもあるミディアムロングの柔らかで優雅な被毛をもっており触り心地、抱き心地は抜群です。
体の大きさもラグドールの特徴を受け継いでおり、体重はオス6.5~9kg程度、メス4.5~7kg程度で大型猫に入ります。
祖先猫の中にペルシャがいるラグドールの改良種のため、ペルシャがかかりやすい遺伝疾患(肥大型心筋症・多のう胞腎症)についてもかかる可能性があります。また他の猫同様に膀胱炎・尿結石・毛球症にも注意が必要です。
ラガマフィンは、見た目の優雅さ、目の色や形から気難しいそうに見えますが、ラグドールの良い点を受け継いでおり、性格は温厚で社交的であり、猫以外のペットなどとも仲良くすることができ、多頭飼いにも向いています。
一般的になつくまでにも時間はかからず、飼い主の愛情の分だけ、なついてくれ、撫でられること、抱っこされることを好みます。
ラガマフィンは容姿・性格ともに非常に飼いやすい部類に入る猫です。ただし、日本ではまだ数が少なく、ペットショップでも人気なため、高額です。
30万円~50万円程度で販売されています。
また、長毛の大型猫種共通ですが、大きな体は、ワンルームや小さな部屋には向きません。それ相応のスペースが必要です。さらに、ブラッシングは必須でマメに対応できない方は飼育しない方がよいでしょう。
最後とても人懐っこいで性格ですが、気弱な一面も持つため、しつけで強めに叱ってしまうと、委縮して全く寄り付かなくなることもあります。
猫を初めて飼う方で、今回紹介した飼いにくい猫種に一目惚れをしてしまい、どうしても飼いたいと思ってしまう場合もあるでしょう。
飼い主と猫の負担など考えるとおすすめはできませんが、以下①〜④を心がけて、万全の体制で猫を迎えましょう。
猫種によっての飼育難易度に関わらず、飼育初心者は必ず、飼育についての相談先を確保しましょう。
例えば、獣医師・猫のトリマー・猫を買い求めた先のペットショップやブリーダーなどです。SNSでの猫種のコミュニティーに参加しても良いでしょう。
飼育の難しい猫種は注意点が分かっていても、猫の飼育に悩む事がありますので、一人で抱え込まず専門家や飼育経験者に相談しましょう。
長毛・無毛の猫種の場合、猫に合わせ室温を一定に保つ事が重要です。
また、動きが活発な猫種には運動ができる広いスペースを確保しましょう。
長毛種の場合は、トリミングサロンでのカット等、費用がかかるケアも積極的に行いましょう。こうしたケアは、外見の管理だけではなく、健康面の管理も伴うケアということを理解しましょう。
運動が必要な猫種には、一緒に遊ぶ時間をとり、干渉する事がストレスになるような神経質な猫種には、人間側の都合で過干渉しないようにしましょう。また、多頭飼いに向かない猫種については、親子以外での多頭飼いは辞めましょう。
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